↓動画はこちら
「新規顧客と既存顧客のどちらが売上に貢献しているのか、すぐに知りたい」そう感じたことはありませんか?通常であれば、スプレッドシートで関数を駆使したり、ピボットテーブルを作成したりと、多くの手間と時間がかかります。
しかし、今AIの進化によって、こうしたデータ分析のハードルは劇的に下がっています。日本語で質問するだけで、データが瞬時に整理・分析され、ビジネスの意思決定を加速させる時代が到来しているのです。

今日はGoogleスプレッドシートとGeminiを使って、顧客データや受注データを効率的に分析する方法について、ご紹介します。
なぜ今AIがデータ分析を変えるのか?ビジネス現場の課題と本質
多くのビジネスパーソンにとって、データ分析は専門知識と時間を要する作業だと感じられています。そのため、「データを見たい」という気持ちはあっても、実際に手を動かすまでには大きな心理的障壁があるのではないでしょうか。
例えば、顧客がどんな商品を好むのか、売上が伸びている時期はいつかといった、ビジネスに直結する問いは常に存在します。これらの問いに答えるためには、データの抽出、加工、集計、可視化といった一連のプロセスが必要不可欠です。
では、なぜ今AIがこの状況を変えつつあるのか。
本質的に、AI、特に大規模言語モデルは、条件付き確率に基づいて次の言葉を最適に生成する構造を持っています。つまり、求められている答えを、文章や数値、さらにはグラフといった形で返すのが非常に得意なのです。
データ分析の目的は、常に「知りたいこと」を明確にし、その答えをデータから導き出すことにあります。例えば、「どの地域が売れているのか」「売上が伸びている時期はいつか」といった問いは、すでにゴールが定まっている状態です。
だからこそ、AIとの相性が抜群だと私は考えています。AIを使えば、私たちが自然言語で質問するだけで、これまで専門家が行っていた分析を、はるかに速いスピードで実行できるようになりました。
では、具体的にどのように活用すれば良いのでしょうか?
Gemini in Sheetsで実現したデータ分析
私がこの技術に触れて最も強く感じたのは、データ分析が「誰にとっても身近なものになった」という可能性です。かつては専門スキルが必須だった領域が、今や日本語で話しかけるだけでアクセスできるレベルにまで進化しています。
この変化を可能にするのが「Gemini in Google Sheets」です。スプレッドシート上で直接Geminiに質問し、即座に分析結果を得られるこの機能は、データとの対話を格段に容易にしました。

ただし、この機能を利用するには前提条件があります。個人の場合は「Gemini in Workspace」の有料版への加入が必要です。
また、もしGoogle Workspaceを契約している企業であれば、スタンダード以上のプランを契約していることが求められます。スタータープランでは利用できない点に注意が必要です。

私たちは通常、注文ID、ユーザーID、プロダクトIDといった受注データに加え、製品データや顧客データを統合した形で分析を進めます。もし皆さんがECサイトを運営していない場合でも、広告データや営業管理データなど、表形式のデータであれば汎用的に応用できるのが大きな強みです。
ここで重要なのは、AIがデータ分析において、私たち人間が「何を明らかにしたいのか」という問いを理解し、その答えを効率的に提示してくれる点だと考えています。複雑な関数を覚える必要はありません。
知りたいことは明確だからこそ、AIがその真価を発揮するのです。では、この強力なツールを実際にどのように使いこなすか、具体的な実践ステップをお話ししましょう。
【実践】Gemini in Sheetsで顧客・注文データを分析する
Gemini in Sheetsの使い方は非常にシンプルです。スプレッドシートの左上にあるGeminiアイコンをクリックし、チャットボックスに質問を入力するだけです。ここでは、具体的な分析例をステップ形式でご紹介します。
- 平均注文金額の算出
-
-
- 「平均注文金額を出してください」と入力します。
- 関数を打ち込む手間なく、瞬時に1回あたりの注文金額の平均値が提示されます。
-
- 特定の期間の受注データ比較(表形式)
-
-
- 「23年11月と23年12月の受注データを比較して表にしてください」と質問します。
- Geminiは売上などを比較した表を生成し、期間ごとの傾向を把握しやすくします。
-


- 特定条件の顧客抽出
-
-
- 「受注金額が1万円以上の顧客を抽出して一覧にしてください」と入力します。
- ピボットテーブルや複雑な関数を使わずとも、条件に合致する顧客リストを即座に得られます。
-
- 月ごとの売上推移グラフ化
-
-
- 「月ごとの売上推移をグラフにしてください」と指示します。
- 手動でグラフ設定を行うことなく、自動で折れ線グラフが作成され、視覚的に傾向を捉えることができます。
-

- 平均購入単価が高い商品の特定
-
-
- 「平均購入単価が高い商品はどれですか?」と質問します。
- 顧客単価向上のための施策検討に役立つ、高単価商品が特定されます。
-
- リピート購入率が高い商品の特定と解釈
-
-
- 「リピート購入率が高い商品を教えてください」と入力します。
- 商品ごとのリピート率を把握し、顧客ロイヤルティ向上へのヒントが得られます。Geminiにさらに「これを解釈するとどうなりますか?」と問うことで、示唆を引き出すことも可能です。
-
- 新規・既存売上の比較と算出ロジックの確認
-
-
- 「11月と12月に絞って新規と既存の売上を比較してください」と質問します。
- 新規・既存顧客別の売上を把握できます。算出ロジックが不明な場合は「どうやって算出したの?」と問いかければ、定義や計算方法が提示されます。
-
- 上位顧客の売上割合(パレートの法則)
-
-
- 「上位20%の顧客が売上全体に占める割合は?」と尋ねます。
- パレートの法則(2:8の法則)に基づき、主要顧客層の貢献度を定量的に把握し、経営戦略に活かすことができます。
-
- 経営会議用要約
-
-
- 「経営会議用に3つのポイントに要約してください」と指示します。
- 複雑なデータを要点にまとめ、経営層への報告資料作成を効率化します。
-
- 異常値検出
-
-
- 「異常値を見つけてください」と入力します。
- 売上などが急激に変動した日を特定し、その日の施策や外部要因を分析することで、有効なマーケティング施策を発見するきっかけになります。
-
- 注力すべき商品カテゴリ提案、避けるべきカテゴリ提案
-
-
- 「次の四半期に注力すべき商品カテゴリを提案してください」と依頼します。
- Geminiはデータに基づいておすすめの商品カテゴリを提案し、戦略的な意思決定を支援します。さらに「逆に注力すべきではない商品カテゴリは?」と聞くことで、リソース配分の最適化に役立ちます。
-
- 売上予測と時系列分析
-
- 「過去12ヶ月の月次売上データで、2024年以降のデータを予測してください」と質問します。
- シンプルな線形回帰モデルを用いた売上予測が提示されます。また、予測結果をグラフ化することも可能です。

Geminiが生成した表やグラフは、「挿入」ボタンからスプレッドシート内に簡単に貼り付けることができます。これらの実践ステップを通じて、複雑なデータ分析が格段に身近になり、ビジネスの現場に大きなインパクトをもたらすと私は感じています。

Geminiスプレッドシート分析の限界と次のAI活用ステップ
ただし、このGemini in Sheetsにも留意すべき点がいくつか存在します。まず、Geminiの回答には、質問の仕方やデータの質によって「揺らぎ」や「質のばらつき」が若干見られることがあります。より精度の高い分析を求める場合は、明確なプロンプト設計が求められるでしょう。

次に、AIによる予測モデルは、提供されたデータにのみ基づいているという限界を理解することが重要です。例えば、売上予測の場合、過去のパターンから導き出されるため、季節性、プロモーション活動、競合の動向、経済状況などの外部要因は考慮されていません。
より詳細で多角的な予測には、これらの外部要因を組み込んだ高度な分析が必要になります。スプレッドシート上での分析を入り口とし、将来的にはBigQuery MLといった機械学習ツールやPythonによるプログラミングへとスキルツリーを伸ばしていくことが、ビジネスの未来を予測する上で有効だと私は考えています。
AI時代のデータ分析を見据えたGeminiと私たちの次なる一手
Gemini in Sheetsは、データ分析の民主化を大きく進めるものだと私は感じています。これまでのデータ分析は専門家のものでしたが、今や自然言語で問いかけるだけで、誰もがデータからインサイトを引き出せるようになりました。
これは、ビジネスにおける「悩む時間」を「創る時間」に変える、私たちカボシア株式会社のミッションと深く共鳴しています。データにアクセスし、そこから意味を読み解くプロセスが簡素化されることで、私たちはより本質的な戦略立案や価値創造に集中できるようになるでしょう。

まずは、皆さんの会社のデータをGemini in Sheetsに読み込ませ、色々な質問を試しながら分析を進めてみてください。その中で新たな気づきや改善点が見つかるはずです。
改めてになりますが、今日共有した内容のさらに詳しい資料を公式LINEで配布しています。「スプシ分析」と5文字で入力いただければ、受け取ることができます。社会の「悩む時間」を「創る時間」に変えるため、私たちはAIの受託開発やデータに基づいたマーケティングコンサルティング、データ基盤構築を行っています。データ周りはめちゃくちゃ詳しいので、お気軽にご相談ください!!